『おくのほそ道』をマンガで覚える!①月日は百代の過客|中3国語・期末テスト対策

『おくのほそ道』、なんの話か分かってる?
もうすぐ期末テスト! 中学3年生のみんな、国語の範囲に『おくのほそ道』が入っている人や、暗唱の課題が出ている人もいるんじゃないかな?
月日は百代の過客にして、行きかふ年もまた旅人なり。
何度も声に出して、ひたすら覚える! ……でも、なかなか頭に入らなくて困っている人も多いと思います。それ、あなたのせいじゃありません。意味が分からない文章を丸ごと覚えるのは、誰にとっても大変なんです。
古文は、内容が分かってから読むと、ずっと覚えやすくなります。
ということで今回は、中谷塾の馬渡先生がまさかの松尾芭蕉に変身! 三方先生も、弟子の曾良(そら)として登場します。解説は泰地先生。マンガで芭蕉の旅立ちを追いかけながら、一緒に内容をつかんでいきましょう!
登場人物を紹介!

松尾芭蕉(まつお ばしょう)演じるのは…馬渡先生江戸時代の俳人。伊賀国(いまの三重県)の生まれで、俳諧を芸術にまで高めた人です。マンガの芭蕉は表情ゆたかで少しコミカル。でも、旅への決意は本物です。

河合曾良(かわい そら)演じるのは…三方先生芭蕉の弟子で、『おくのほそ道』の旅に同行した人です。旅の記録も残しています。マンガでは師匠を静かに見守り、ときどき一言だけツッコミます。
マンガ①(1〜4コマ)
月日も旅人。芭蕉も旅人。

※大きな文字が原文、吹き出しはマンガのセリフです。4コマ目は当時の旅の危険を伝えるイメージ場面です。

泰地先生の解説①旅は、今とは全然ちゃうねん!
ここ、めっちゃ大事なところやで! みんな「旅行」と聞いたら何を思い浮かべる? 新幹線、ホテル、おいしいご飯……。今の旅行って、基本的に楽しいものやんな。
でも芭蕉の生きた江戸時代は、移動の中心が徒歩。険しい山道もあるし、雨や雪にも遭う。病気やけがをしても、今みたいにすぐ病院には行かれへん。もちろん江戸時代にも旅を楽しむ人はいたし、宿場や街道も整っていったんやけど、芭蕉が目指したような長い旅には、今とは比べものにならない危険と苦労があったんや。
そしてもう一つ。芭蕉は急に旅に出たくなったわけやない。原文の「漂泊の思ひやまず」は、さすらいたい気持ちがずっと消えへんかった、ということやね。
- ここで覚える言葉
- 百代(はくたい)…永遠、とても長い年月
- 過客(かかく)…通り過ぎていく旅人
- 片雲(へんうん)…ちぎれ雲
- 漂泊(ひょうはく)…あてもなくさすらうこと
マンガ②(5〜8コマ)
それでも旅に出たい!

※5コマ目の「旅の途中で倒れようとも……それもまた、本望」はマンガの創作セリフで、原文の言葉ではありません。

泰地先生の解説②「そぞろ神」って何者!?
「そぞろ神」って、なんかすごい名前やんな(笑)。芭蕉は、まるで神様に取りつかれたみたいに、旅への思いで心をかき乱されてる。つまり、自分でも抑えられへんくらい旅に出たい! ということ。
おもしろいのは、危険を知らんから行きたいんやない、というところ。原文には「古人も多く旅に死せるあり」(昔の人にも、旅の途中で亡くなった人がたくさんいる)と書いてある。芭蕉があこがれた西行や李白、杜甫といった詩人たちのことやと言われてるで。そのことを分かったうえで、それでも旅に出たい。芭蕉にとって旅は、ただの楽しみやなくて、生き方そのものやったんやと思う。
- ここで覚える言葉
- 江上(こうしょう)…川のほとり(ここでは隅田川)
- 破屋(はおく)…あばら家、粗末な家
- そぞろ神…人の心をそわそわさせ、旅に誘い出すような神
- 心をくるはせ…心を落ち着かなくさせ
マンガ③(9〜12コマ)
住まいを手放して、いざ旅へ!

※11コマ目の「もはや必要あるまい」「戻って来られるかどうかも、わからぬ」はマンガの創作セリフです。曾良も、この段の原文には出てきません(演出で登場しています)。

泰地先生の解説③芭蕉、本気すぎるやろ!!
芭蕉は旅に出るために、ももひきを繕って、笠のひもを付け替えて、足にお灸をすえてる。まさに本気の準備や。そしてさらに驚くのが……
「住めるかたは人に譲りて」。つまり、自分の住まいを人に譲ったんや! 旅行に行くからって家を譲る? 普通はせえへんよな(笑)。それくらい、旅への思いが強かったということやね。
原文の「杉風」は、芭蕉の門人で、暮らしを支えてくれた人。芭蕉は庵を譲って、杉風の別荘に移ったんや。そして、去っていく庵に残したのが、この句。
草の戸も住み替はる代ぞ雛の家
粗末な自分の庵にも、住む人が替わるときが来た。これからは、ひな人形を飾るような家になるんやろうなあ。住み慣れた場所との別れと、旅立つ気持ちがこもった一句やね。
- ここで覚える言葉
- 道祖神(どうそじん)…道や旅人を守る神
- 取るもの手につかず…ほかのことが手につかない
- 三里に灸…足のつぼ「三里」にお灸をすえること
- 杉風(さんぷう)…芭蕉の門人
- 別墅(べっしょ)…別荘
- 面八句(おもてはちく)…連句の最初の八句(表八句とも書く)
暗唱チャレンジ|マンガの場面と原文をつなげよう
ここが本番! 原文を、読みと意味、マンガの場面と並べました。赤い札の部分はマンガに出てこない原文なので、ここだけは意識してつなげてみてくださいね。
月日は百代の過客にして、行きかふ年もまた旅人なり。
月日は永遠に旅を続ける旅人のようなもので、来ては去っていく年もまた旅人だ。
舟の上に生涯を浮かべ、馬の口とらへて老いを迎ふる者は、
舟の上で一生を過ごす船頭や、馬のくつわを取って年老いていく馬方は、
日々旅にして旅をすみかとす。
毎日が旅で、旅そのものを住まいにしている。
古人も多く旅に死せるあり。
昔の人にも、旅の途中で亡くなった人がたくさんいる。
予もいづれの年よりか、片雲の風にさそはれて、漂泊の思ひやまず、
私もいつの年からか、ちぎれ雲が風に流されるのに誘われるように、さすらいたい気持ちがおさまらず、
海浜にさすらへて、
海辺をさすらい歩き、
去年の秋、江上の破屋に蜘蛛の古巣をはらひて、
去年の秋、川のほとりのあばら家に戻ってクモの古い巣を払い(落ち着いたのもつかの間)、
やや年も暮れ、春立てる霞の空に、
だんだん年も暮れ、春になって霞の立つ空を見ると、
白河の関越えむと、
白河の関(東北への入り口)を越えたいと思い、
そぞろ神の物につきて心をくるはせ、
そぞろ神が取りついたように心が落ち着かなくなり、
道祖神の招きにあひて、取るもの手につかず、
道祖神に招かれているようで、何も手につかない。
股引の破れをつづり、笠の緒付けかへて、三里に灸すゆるより、
ももひきの破れをつくろい、笠のひもを付け替え、足の三里にお灸をすえるとすぐに、
松島の月まづ心にかかりて、
まず松島の月のことが気にかかって、
住めるかたは人に譲りて、杉風が別墅に移るに、
住んでいた庵は人に譲り、杉風の別荘に移るときに、
草の戸も住み替はる代ぞ雛の家
この粗末な庵にも、住む人が替わるときが来た。これからは、ひな人形を飾るような家になるのだろう。
面八句を庵の柱に懸け置く。
この句で始まる面八句を作って、庵の柱に掛けておいた。
⚠ 覚えるのは教科書の書き方で
この表の原文は、中学3年の国語の教科書の書き方に合わせています。マンガの中の原文は、ほかの本の書き方になっているところがあります(「暮/暮れ」「まねき/招き」「灸すうる/灸すゆる」「住み替る/住み替はる」「表八句/面八句」など)。暗唱やテストでは、学校の教科書の書き方を正解にしてくださいね。
読み方に気をつけたい言葉(歴史的仮名遣い)
| 原文 | 読み方 |
|---|---|
| 行きかふ | ゆきかう |
| とらへて/付けかへて | とらえて/つけかえて |
| 迎ふる | むかうる |
| いづれ | いずれ |
| さそはれて | さそわれて |
| 思ひ/はらひて/あひて | おもい/はらいて/あいて |
| さすらへて | さすらえて |
| 越えむと | こえんと |
| くるはせ | くるわせ |
| 住み替はる | すみかわる |
| まづ | まず |
テスト前におさえておきたい表現
- たとえ…「月日」と「年」を旅人にたとえています。
- 対句…「舟の上に生涯を浮かべ」と「馬の口とらへて老いを迎ふる」は、形をそろえて並べた表現です。
- 俳句の季語…「草の戸も」の句の季語は「雛」で、季節は春です。
- 切れ字…同じ句の「ぞ」が切れ字です。
覚える順番は3ステップ!
- ①マンガで内容を理解する
- ②マンガの場面を思い出しながら原文を読む
- ③最後はマンガを見ずに暗唱する
最初からすべて丸暗記しようとしなくて大丈夫! つっかえながらでいいので、場面を思い出して少しずつつなげていきましょう。原文を見たときに「あの場面や!」と思い出せたら、もう半分できたようなものです。
芭蕉の旅と、覚えておきたい句
芭蕉は1689年、弟子の曾良とともに江戸を出発し、東北・北陸をめぐって美濃の大垣(いまの岐阜県)まで歩きました。およそ150日、距離は約2400kmとも言われる長い旅です。旅の途中で詠まれた句の中でも、特に有名なものがこちら。
- 夏草や兵どもが夢の跡(なつくさや つわものどもが ゆめのあと)平泉で
- 閑かさや岩にしみ入る蝉の声(しずかさや いわにしみいる せみのこえ)立石寺で
- 五月雨をあつめて早し最上川(さみだれを あつめてはやし もがみがわ)最上川で
じつは、中谷塾の歴史人物クイズ「WANTED」でも、この前の答えが松尾芭蕉でした! 今月の手配書はこちらから挑戦できます。
次回は「夏草や兵どもが夢の跡」!

泰地先生からみんな、ようがんばった!
今回の『おくのほそ道』、どうやった? 少し難しい古文でも、場面を知ると内容がぐっと分かりやすくなるやろ。芭蕉がどんな気持ちで旅に出たのかを知ってから原文を読むと、言葉の重みも変わってくるはずやで。
芭蕉の旅は、まだ始まったばかり! 次回は、かつて栄えた奥州平泉へ。そこで芭蕉が目にしたのは、栄華の跡と、風に揺れる夏草。あの有名な句に、どんな思いが込められているのか。第2話もお楽しみに!
中3生のみんな、期末テストまであと少し。暗唱クリアを目指して、一緒にがんばろう!🔥
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