『指数関数的増加』ってどういうこと?秀吉もびっくり?|グラフと米粒でわかりやすく解説

📐 数学のはなし

『指数関数的増加』って
どういうこと?

秀吉もびっくり? グラフと米粒でわかりやすく解説
最初はゆっくり。
気づいたときには、手がつけられない。

「感染者が指数関数的に増えている」「AIの性能が指数関数的に伸びている」——ニュースやSNSで、この言葉を一度は見たことがあると思います。

コロナ禍で一気に有名になった言葉ですが、実は高校2年生の数学Ⅱで習う、れっきとした数学用語です。

この記事では、グラフと「秀吉の米粒」のお話で、指数関数的増加のヤバさを体感してもらいます。

📈 1.指数関数ってなに?

「指数関数ってそもそも何なん!?」と驚く猫のねこいちろ
▲ ねこいちろ「『指数関数』ってそもそも何なん!?」

指数関数とは、指数の部分に x(変数)が入っている関数のことです。
y=aˣ の形(a は 1 以外の正の数)で、いちばん身近なのは y=2ˣ。グラフにすると、こうなります。

指数関数 y=2^x のグラフ。右に行くほど急に立ち上がる
▲ y=2ˣ のグラフ。右に行くほど、急に立ち上がっていく
「高2で習っただろ、ねこいちろー!」と言う猫のうにゃすけ
▲ うにゃすけ「高2で習っただろ、ねこいちろー!」

そうです、数学Ⅱ(高校2年生)で学習します。グラフの形は意外とシンプル。でも大事なのは、形よりも「増え方」です。

x1234510
y=2ˣ24816321,024
x が 1 増えるたびに、y は「足される」のではなく
「2倍される」。これが指数関数の正体です。

🚀 2.指数関数的増加とは?

では「指数関数的増加」とは何なのか。
いちばん基本の一次関数(比例)と比べてみましょう。下は y=3x のグラフ。小6・中1で出てくる、あの直線です。

一次関数 y=3x のグラフ(比例の直線)
▲ y=3x。x が 2倍、3倍になると、y も 2倍、3倍になる

一次関数は、x が 1 増えるごとに y が「3 ずつ足される」。増え方はずっと同じペースです。
では、指数関数 y=2ˣ と重ねてみると……

y=2x と y=2^x を重ねたグラフ。最初はそんなに変わらない
▲ 最初はそんなに変わらない……
x が大きくなると指数関数が一次関数を圧倒的に引き離すグラフ
▲ x が大きくなっていくと……圧倒的に指数関数が増えていく!

数字で並べると、差がもっとはっきりします。

x1235102030
y=3x36915306090
y=2ˣ248321,024約105万約5.4億

x=1〜3 のあたりでは、むしろ一次関数のほうが大きい。ところが x=10 で 30 対 1,024。x=30 では 90 対 5億。もう勝負になりません。

「指数関数的増加=爆発的に増えるってこと!」と説明する猫のうにゃすけ
▲ うにゃすけ「指数関数的増加=爆発的に増える、ってこと!」
指数関数の増え方に驚いて叫ぶ猫のねこいちろ
▲ ねこいちろ「他の関数にできないくらい増えていく……そこにシビれる!憧れる〜!」
「指数関数的に増える」= 増える量そのものが、どんどん増えていく。だから途中までは「たいしたことない」ように見えて、ある時点から手に負えなくなります。

🍚 3.秀吉を驚かせた指数関数!?

豊臣秀吉に仕えた曽呂利新左衛門(そろり しんざえもん)は、もともと刀の鞘(さや)職人。作った鞘に刀が「そろり」と収まることから、この名がついたと言われています。

ある日、秀吉から「褒美に何が欲しい?」と聞かれた新左衛門は、こう答えました。

「米1粒から日ごとに倍の量の米を100日間ください」と願い出る曽呂利新左衛門
▲ 新左衛門「米1粒、翌日には倍の2粒、その翌日には更に倍の4粒と、日ごとに倍の量の米を100日間!」
「米粒でいいんかい。謙虚なやっちゃ」と快諾する豊臣秀吉
▲ 秀吉「米粒でいいんかい。謙虚なやっちゃ。持っていけ〜」

「米粒なら大したことはない」と思った秀吉。ところが……

  • 1日目1粒ここから始まる
  • 10日目512粒まだ約10g。ひとつまみ程度
  • 20日目約52万粒約10kg。スーパーの米袋1つ分
  • 30日目約5.4億粒約11トン。米俵にして180俵分
  • 100日目約6.3×10²⁹粒「63穣(じょう)」粒。日本の1年分のコメ生産量の、1000兆年分以上

※ 米1粒を約0.02g として計算。100日目の量は 2 の 99 乗。100日間の合計なら、さらにこの約2倍になります。

「秀吉さま、100日目は2の99乗、米粒約63穣粒、日本のコメ1000兆年分ですぞ」と報告する猫のうにゃすけ
▲ うにゃすけ「秀吉さま、100日目は2の99乗。米粒 約63穣粒、日本のコメ1000兆年分ですぞ!」

驚いた秀吉は、あわててほかの褒美に変えさせたそうです。

「倍々」は、はじめの数日はかわいい。
でも100日続けたら、国が傾く。これが指数関数的増加の恐ろしさです。

🌍 4.身近にある「指数関数的増加」

この「倍々」は、教科書の外にもたくさんあります。

🦠
感染症
1人が2人にうつすと、10回で1,024人。コロナ禍で「指数関数的」が有名になった理由
📱
SNSの拡散
1人が数人にシェアするだけで、数日後には何十万人へ
💰
複利の貯金・借金
利息にも利息がつく。長い時間がたつと、差がとんでもなく開く
🤖
AIの進化
計算能力や性能が数年ごとに倍々に。これも指数関数的
数学Ⅱの1単元が、ニュースの「なぜ?」を読み解くカギになる。数学は、世の中を見るためのメガネです。

🎓 5.高校数学で応用してみよう♪(例題あり)

最後に、数学Ⅲの「極限」の分野から例題を。(x>1 とします)

極限の例題。① x^n / x^1000000、② log x / x^n の n→∞ の極限
▲ 例題(n→∞ のとき)

① 一見、分母の x の 1000000 乗がめちゃくちゃ大きく感じます。「分母が限りなく大きくなる → 答えは 0」と思いたくなりますよね。

でも、①の分子は xⁿ という指数関数(n が変数)。指数関数は爆発的に増えるので、n を大きくしていけば、最終的に分子のほうが圧倒的に大きくなります。
だから、①の答えは ∞。

② 今度は分母に指数関数があります。n→∞ で分母が爆発的に増えていくので、答えは 0 になります♪

「n→∞ のとき x^n > n^数字 > log n。指数関数が最強」と解説する猫のうにゃすけ
▲ うにゃすけ「n→∞ のとき xⁿ > n の何乗 > log n。指数関数が最強ってこと!」

指数関数 > 多項式(x の何乗)> 対数関数。この「強さの順番」を覚えておくと、極限の問題で「分子と分母、どっちが勝つか」が一瞬で見えるようになります。

「指数関数、最強!しょせん住む世界が違う!」と叫ぶ猫のねこいちろ
▲ ねこいちろ「指数関数、最強!他の関数は貧弱、貧弱〜!しょせん住む世界が違う!」
Beautiful Mathematics!!グラフの「意味」がわかると、数学は急におもしろくなります。

❓ よくある質問

指数関数はいつ習いますか?
高校2年生の数学Ⅱ「指数関数・対数関数」です。中学では「指数関数」という言葉は出てきませんが、2倍、4倍、8倍……という累乗(るいじょう)の考え方は中1で登場します。ここでつまずくと高校で効いてくるので、中学のうちに「2の10乗=1024」くらいは体で覚えておくと得です。
「ねずみ算」と同じですか?
ほぼ同じです。ねずみ算は「一定期間ごとに一定の倍率で増える」計算で、まさに指数関数的増加の代表例。江戸時代の算術書『塵劫記(じんこうき)』にも載っている、日本人には昔からなじみのある話です。
逆に「指数関数的に減る」こともありますか?
あります。y=(1/2)ˣ のように、a が 1 より小さいときは急激に減っていきます。放射性物質の半減期や、薬の血中濃度が下がっていく様子がこれです。「倍々」の逆で「半分、半分」になっていくイメージです。
指数関数は、理系じゃなくても役に立ちますか?
役に立ちます。感染症の予測やAIの話だけでなく、複利(貯金・ローン・投資)は完全に指数関数の世界。「年利3%で30年」がどれだけ増えるか(減るか)を感覚でつかめるかどうかは、文系・理系に関係なく一生ものです。

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※ この記事は2020年7月22日に公開したものを、2026年9月に全面リニューアルしました。